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グランプリ神戸 チャレンジモダン 決勝: 大島 啓輔(大阪) vs. 中原 大貴(滋賀)
2017年05月07日(日)23:58
大会・イベント
by Takumi Yamasaki
今月末に迫るグランプリ・神戸2017。
数多くのマジックプレイヤーがそこに向けて日々練習や調整を重ねている。
その中で開催されたこのグランプリ・神戸チャレンジモダンは参加者215人という大盛況の大会となった。
決して楽ではないスイスラウンド8回戦、そして準々決勝、準決勝を勝ち上がり生まれる2人だけの場所。
すでに会場からは多くのプレイヤーが立ち去り、日も落ちた肌寒い空間のなかに一際熱い場所が存在した。
フィーチャーテーブル。
それは決勝戦が行われる場所であり、215人の頂点に立つ覇者が誕生するところでもある。
大島 啓輔(大阪)。
彼の使うデッキは「ドレッジ」。《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》の禁止を受けてなお活躍するこのデッキは大島を最後の舞台である決勝戦へとで導いた。
「まさかここまでこれるとは」そうつぶやく大島。自分でも予想だにしていなかった展開に驚きを隠せない。
対するは中原 大貴(滋賀)。
モダンを組んでまだそんなに期間がたっていないという彼が使用するのは「バントエルドラージ」。これまた《ウギンの目/Eye of Ugin》という禁止を受けながらも、その勢いは止まることを知らないデッキの一つであろう。
一般的なリストに独自のチューンを施したこのデッキが中原に優勝をもたらすのであろうか。
お互い入念なシャッフルを行い、ゲームの開始を静かに待つ。
そしてジャッジの合図とともにゴールデンウィーク最後を締めくくる決勝戦が始まった。
大島 啓輔(大阪) vs. 中原 大貴(滋賀)
Game 1
先行はスイスラウンド1位追加の大島。緊張の初手を大島はキープ、中原はワンマリガンでキープする。
1ターン目から早速動く大島《銅線の地溝/Copperline Gorge》から《信仰無き物あさり/Faithless Looting》で《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》をディスカードする立ち上がり。
対する中原は《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》からスタート。色マナの出ないこの土地から始まるということは事故なのか、それとも2ターン目に《難題の予見者/Thought-Knot Seer》をプレイする構えなのか。
ターンをもらった大島は《安堵の再会/Cathartic Reunion》から《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》を捨ててそのままドローを置換。「発掘5」で落ちたのは《ナルコメーバ/Narcomoeba》が2体。これに反応して《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》が蘇生する。
わずか2ターンの間に盤面が騒がしくなるのを後目に中原は《魂の洞窟/Cavern of Souls》から《作り変えるもの/Matter Reshaper》をプレイする。
素直に攻撃してきた大島の《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》と相打ちを取った《作り変えるもの/Matter Reshaper》が中原に《現実を砕くもの/Reality Smasher》をもたらす。
大島 啓輔(大阪)
第2メインフェイズ、大島は墓地の《信仰無き物あさり/Faithless Looting》を「フラッシュバック」し《燃焼/Conflagrate》と《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》を墓地へ送り込む。
中原「このカードなんですか?」
《燃焼/Conflagrate》の効果を確認する。まだ「ドレッジ」と対戦したことがないという中原に対し、丁寧に効果を説明する大島。墓地と場、手札を縦横無尽に行きかう「ドレッジ」との経験値がない中原には厳しい戦いとなる。
《平地/Plains》から《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》でターンを返す。
大島はドローを《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》で置換し、《憑依された死体/Haunted Dead》が落ちる。《ナルコメーバ/Narcomoeba》2体の攻撃を《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》で防ぐ中原。
その後《壌土からの生命/Life from the Loam》で土地を手札に加えセット、墓地に落ちていた《恐血鬼/Bloodghast》を場に戻し再び《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》も帰ってきた。
盤面のプレッシャーを絶えず感じる中原はエルドラージ・末裔トークンからマナを出し、《現実を砕くもの/Reality Smasher》を戦場に送りだす。そのエンド時に墓地から蘇る《憑依された死体/Haunted Dead》。
場を埋め尽くす不死の軍団の攻撃を耐えきれるはずもなく、中原は投了した。
大島 1-0 中原
中原「なるほどそういうデッキなんですね」
目の前で起きた相手の動きを考えながら落ち着いた表情でサイドボードを始める中原。
このマッチアップは中原が何枚の墓地対策を用意しているのか、そしてそれをゲーム中に引けるかで勝敗は決まるといっても過言ではないだろう。
慣れた手つきで素早くサイドチェンジを行う大島。ドレッジを使うプレイヤーは墓地対策されることなど存分に周知している。
「バントエルドラージ」から飛んでくる《安らかなる眠り/Rest in Peace》や、別軸での負け筋となる《崇拝/Worship》を考えて《思考囲い/Thoughtseize》と《自然の要求/Nature's Claim》をサイドインする。
その考えを裏切るように、中原のサイドボードには《安らかなる眠り/Rest in Peace》や《崇拝/Worship》すらも存在しておらず、墓地対策は2枚の《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》と1枚の《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》だけであった。
このまま大島が勝つのか、それとも大島の予想を裏切る中原のサイドがそれを許さないのか。
第2ゲーム目が開始する。
Game 2
ワンマリガンからスタートする両者。 先行の中原は《繁殖池/Breeding Pool》から《貴族の教主/Noble Hierarch》をプレイ。対する大島はフェッチランドから《血の墓所/Blood Crypt》、そしてサイドインした《思考囲い/Thoughtseize》で中原の手札を覗き見る。
- 《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》
- 《古きものの活性/Ancient Stirrings》
- 《魂の洞窟/Cavern of Souls》
- 《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
自分のサイドボードを確認し、何を抜くか考える大島。熟考の末、《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》を選択。
手札がばれた中原は《古きものの活性/Ancient Stirrings》から《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》をハンドに加えそのままプレイ。数少ないサイドカードをプレイすることができた中原。大島はこれをどう対処するのか。
ターンが帰ってきた大島は《信仰無き物あさり/Faithless Looting》から《災いの悪魔/Scourge Devil》と《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》を捨てて、《傲慢な新生子/Insolent Neonate》を戦場に追加してターンを返す。
大島のエンジンがかかる前に攻めることができない中原はターンを終了する。
その隙にと《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》を「発掘」。《燃焼/Conflagrate》と《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》が墓地に行き《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》から《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》をショックインしライフは12。
墓地対策の前に苦しい表情をみせる大島は《災いの悪魔/Scourge Devil》を墓地から「蘇生」を試みるが、これには《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》を起動し墓地を一度リセットする。
なんとか凌いだ中原は引き込んだ《現実を砕くもの/Reality Smasher》が「賛美」され大島のライフを大きく詰める。
《傲慢な新生子/Insolent Neonate》で解答を探す。
残された時間がない大島は《壌土からの生命/Life from the Loam》でまず「発掘3」し、さらに《信仰無き物あさり/Faithless Looting》で「発掘4」を行い飛び出すは《ナルコメーバ/Narcomoeba》。手札に加えた《壌土からの生命/Life from the Loam》で土地を回収しプレイすると《恐血鬼/Bloodghast》が2体蘇った。
なんとか場を構築する大島だが中原から2体目の《貴族の教主/Noble Hierarch》がプレイされると、《現実を砕くもの/Reality Smasher》が2回の「賛美」を受け《恐血鬼/Bloodghast》の横をすり抜けてそのまま大島に敗北をお見舞いした。
ゲームは3本目にもつれこみ、いよいよ最終戦の幕が上がる。
大島 1-1 中原
Game 3
大島の先手。初手をみるなり長考する大島は息を深く吸い込み重い声でキープを宣言する。
すぐさまプレイしたカードは《思考囲い/Thoughtseize》。
- 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
- 《低木林地/Brushland》
- 《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》
- 《反射魔道士/Reflector Mage》
- 《古きものの活性/Ancient Stirrings》
- 《流刑への道/Path to Exile》
- 《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》
というこの手札から真っ先に《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》を落とす。「なんで先手じゃないんだ」後手の中原からそんな声が飛び出す。
しかしまだゲームが終わったわけではない。《古きものの活性/Ancient Stirrings》から《難題の予見者/Thought-Knot Seer》を手に入れる中原。
サイドカードを落とすことに成功した大島は、このまま一気に攻めきりたいのだが2枚目の土地を引くことができない!その次のターンも土地を引くことができなかった大島。
その間に中原は《エルドラージの寺院/Eldrazi Temple》から《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》、《難題の予見者/Thought-Knot Seer》と展開する。
中原 大貴(滋賀)
これに対し《稲妻の斧/Lightning Axe》でなんとか《難題の予見者/Thought-Knot Seer》を除去。そのおかげで2枚目の土地を手に入れることができた大島だが
- 《壌土からの生命/Life from the Loam》
- 《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》2枚
- 《安堵の再会/Cathartic Reunion》
- 《恐血鬼/Bloodghast》
- 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
から《安堵の再会/Cathartic Reunion》を追放する。
《稲妻の斧/Lightning Axe》で捨てた《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》を「発掘」し《暗黒破/Darkblast》、《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》、《燃焼/Conflagrate》、《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》という素晴らしい落ち方でターンを迎える大島。
《燃焼/Conflagrate》を「フラッシュバック」し《空中生成エルドラージ/Eldrazi Skyspawner》をトークンこと処理。クリーチャーを綺麗に捌かれてしまう中原だが第2ゲームを決めた怪物、《現実を砕くもの/Reality Smasher》が大島に再び突如として襲い掛かる!
大島は解答を求めサイドを確認し、「発掘」をせず頼みの通常ドローを行い確認するとそのまま投了した。
大島 1-2 中原
――決着。
手札破壊なんて関係ない。墓地対策なんて関係ない。「ドレッジ」がなにをするかなんて知ったことか。
僕はただ現実を砕くだけ。
ゴールデンウィークが終わりを告げると同時に、グランプリ・神戸チャレンジモダンも幕を閉じる。「バントエルドラージ」を手に、215名の頂点に立ち、見事優勝の二文字を勝ち取ったのは中原 大貴(滋賀)!
優勝おめでとう!!
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